矯正歯科志望の歯学部学生さんへ
横須賀市久里浜 さいとう矯正歯科クリニック 齋藤伸雄です。
今回は、歯学部大学生の方に向けてのメッセージです。
当院には、矯正歯科医を目指す歯学部学生に相談を受けることがありますので、どのようにすれば矯正歯科医になれるか説明します。
今回解説するのは、日本矯正歯科学会認定医の取得をすることにより矯正歯科医を目指すという内容です。
歯学部大学を卒業して、歯科医師国家試験に合格すれば、歯科医師免許を取得することができます。
この歯科医師免許があれば、法律的には矯正歯科治療を行うことはできます。
ただし、歯科医師免許と取得するだけでは、矯正歯科の技術も知識も不足していますので、矯正歯科医としての知識・技術を学ぶには、日本矯正歯科学会認定医を取得することを強く推奨いたします。
日本矯正歯科学会認定医を目指すには、日本矯正歯科学会が認定する機関で、基本研修2年以上、臨床研修3年以上を、受けることが必須になります。
日本矯正歯科学会が認める基本研修は、歯学部大学付属の矯正科でなければ、受けることができません。
大学矯正科では、矯正の基本的な知識を学ぶことができます。
特に大事なのが、歯列や顔面骨格の分析と治療計画の立案に関して学ぶことができるのです。
歯学部大学付属の矯正科では、4年間の大学院に進むコースと、2~3年間の研修コースがあり、大学院であれば、学位論文の執筆を行い学位の取得ができますし、矯正歯科の知識と治療技術を学ぶことができます。
矯正歯科研修コースであれば、大学院よりも期間が短く、矯正歯科の基本研修を受けることができます。
矯正歯科大学院にするか、矯正歯科研修コースにするか、どこの大学で研修を受けるかなど、一長一短があり、悩むところです。
どちらにせよ、歯学部大学付属病院での矯正歯科基本研修を受けなければ、日本矯正歯科学会認定医を取得することは出来ません。
日本矯正歯科学会認定医を取得するには、論文の執筆が必要ですので、大学矯正科に在籍中に論文の執筆まで終了していると、より日本矯正歯科学会認定医の取得に近づくことができます。
大学での基本研修の次に、臨床研修3年以上を受ける必要があります。
臨床研修は、大学付属矯正科で継続するか、日本矯正歯科学会が、臨床研修機関として認定された歯科医院でも受けることができますので、就職する歯科医院選びの基準にしてください。
3年間の臨床研修が終了すると、ようやく受験資格を得ることができます。
認定医診査は、1次審査と2次審査に分けられ、1次審査は書類提出の評価により、合否が決まります。
2次審査は、口頭試問による評価で、直接試験官と面接しますので、僕も震え上がるほど緊張したのを覚えています。
2年間の大学での基本研修、3年間の臨床研修、そして1次審査、2次審査に合格すると、ようやく、日本矯正歯科学会認定医として、名乗ることができます。
日本矯正歯科学会認定医が取得できれば、日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)の取得が次の目標となります。
日本矯正歯科学会臨床指導医の審査はより厳しい診査基準ですので、日ごろの治療の記録をしっかり残すことが重要です。
真面目に日々、矯正歯科の臨床を行っていれば、取得は難しくはないと思います。
日本矯正歯科学会専門医は、日本矯正歯科学会臨床指導医へと名称変更されました。
今後日本歯科専門医機構という組織が、矯正歯科専門医制度を新しく確立するそうですが、2022年12月現在、この制度は始まっていませんので、矯正歯科専門医を取得していると名乗ることは出来ません。
この新しい矯正歯科専門医制度は、日本矯正歯科学会認定医を取得していることが受験資格になると考えられています。
当院に勤務する歯科医師は、日本矯正歯科学会認定医はもちろん、日本矯正歯科学会臨床指導医や、日本歯科専門医機構が認定する矯正歯科専門医の取得を目標にしていきたいと思っています。