マウスピース型矯正装置(インビザライン)なら、歯を抜かないで治療できますか?
さいとう矯正歯科クリニック 斎藤伸雄(日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医)です。
今回は、マウスピース型矯正装置に関する内容です。
マウスピース型矯正装置「インビザライン」と同じように、マウスピースを使用する矯正治療で、
「キレイライン」という治療方法がありますが、
さいとう矯正歯科クリニックでは、今後「キレイライン」を導入する予定は、一切ありません。
当院で行うマウスピース型矯正治療は、「インビザライン」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)なら歯を抜かないで治療できると思っている患者さんがいましたので驚きました。
もちろん違います。
「インビザラインなら、歯を抜かないで治療できますか?」
という質問の答えは、できる場合もあるし、できない場合もあります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)なら、「ワイヤーなら抜く治療を抜かないで治療できる」ということはありません。
「歯を抜く矯正治療」は、歯の移動が大きくなるので、マウスピース型矯正装置(インビザライン)での適応が難しく、従来のワイヤーでの矯正治療で行うことが、多くなります。
逆に「抜かないで治療できる場合」は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)が適応できる可能性が高くなります。
矯正治療で、「歯を抜いて治療するか」を診断するのは、横顔のレントゲンや、歯列模型などから検討します。
最近では、歯列の状態をスキャナーでデジタルデータとして取り込み、シミュレーションをして、
歯を「抜いて治療した場合」と「抜かない場合」での完成予想をCG画像で作成し、患者さんに見てもらいます。
両方を比較して、前歯の位置と横顔のバランスは、どのように変化するか、
また歯列の状況は、どのように変化をするかを明確に伝えられるようになりましたので、
治療する立場の矯正医からは、便利な時代になったと思っています。
歯を「抜いて治療する場合」と「抜かない場合」では、治療結果に「大きな違い」が出ます。
この「大きな違い」を、画像で見てもらい、患者さんが、どのような治療を希望しているかを考慮に入れて検討します。
装置の種類により、「歯を抜く」「抜かない」を決めることはありません。
上記の通り、「歯を抜く場合」は、ワイヤーでの矯正治療を選択していただくことが多くなります。
このように、レントゲンやCT、歯列の石膏模型とスキャンしたデジタルデータから、検討して、
歯を抜かないで治療すると決定すれば、インビザラインで治療を行うことができる可能性が高くなります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療するか、従来のワイヤーでの矯正で治療するかを決定する前に、
両者の利点欠点を説明します。
特にマウスピース型矯正装置(インビザライン)は短所を理解している方が、少ないように感じますので、
希望する方には、短所を強調して説明しています。
また、治療途中で、マウスピース型矯正装置(インビザライン)から、ワイヤー矯正に変更したり、
マウスピース型矯正装置(インビザライン)とワイヤーでの矯正装置を、交互に使用したりして、
今まで困難であったマウスピースでの矯正の適応範囲を広げるように、心がけています。
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