前歯が噛み合わない開咬と口元の突出を改善|抜歯矯正で整えた症例
こんにちは。
横須賀市・久里浜のさいとう矯正歯科クリニックです。
今回は、当院で矯正治療を行った患者さんの症例をご紹介します。
患者さんのお悩みは、「前歯が噛み合わない」ということでした。
小学生の頃から口が閉じづらいことがあり、成長するにつれて前歯の出っ張りも気になるようになったそうです。
検査をしてみると、前歯が前に出ているだけではなく、上下の前歯が噛み合わない「開咬(かいこう)」という状態になっていました。
今回は、歯を抜いてできたスペースを利用しながら前歯を後ろに下げ、さらに歯科矯正用アンカースクリューを使って奥歯の位置をコントロールした症例です。
治療前|前歯が噛み合わず、口も閉じづらい状態

治療前は、上下の前歯が噛み合っていませんでした。
通常、口を閉じて軽く噛んだときには、上下の前歯もある程度噛み合います。
しかし、この患者さんの場合は、前歯の間に隙間がある「開咬」になっていました。
さらに、上の前歯・下の前歯ともに前方へ傾いており、前歯の出っ張りも認められました。
横から見ると、上下の前歯が前に出ていることで、口元の突出感もみられました。

また、口を閉じるときに顎の先に力が入りやすい状態も認められました。
患者さん自身が感じていた
「前歯が噛み合わない」
「口が閉じづらい」
「前歯が出ている」
というお悩みが、実際のお口の状態にも表れていました。
なぜ前歯が噛み合わないの?
開咬には、さまざまな原因があります。
歯の位置だけが原因の場合もありますが、顎の位置関係や奥歯の高さ、舌の使い方など、複数の要因が関係していることもあります。
今回の患者さんの場合は、上下の顎の位置関係にも特徴があり、下顎が後ろに位置している状態でした。
また、奥歯を含めた噛み合わせも左右ともに「Ⅱ級」と呼ばれる状態でした。
さらに、舌を前に出す癖も認められていました。
このような状態では、単純に前歯を並べるだけではなく、前歯・奥歯・顎の位置関係を全体的に考えて治療することが重要になります。
治療方法
歯を抜いて、前歯を後ろに下げる

今回の治療では、小臼歯という歯を抜いて、歯を動かすためのスペースを作る方法を選択しました。
抜歯したのは、
- 上の左右の第一小臼歯
- 下の左右の第二小臼歯
です。
下の左側の第二小臼歯は、もともと神経が失活していたため、治療計画を考えるうえでも抜歯する歯として選択しました。
「歯を抜いてしまって大丈夫なの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
矯正治療での抜歯は、単純に歯を減らすことが目的ではありません。
歯をきれいに並べるためのスペースを作り、そのスペースを利用して前歯の位置や噛み合わせ、口元を整えることが目的です。
今回の患者さんでは、抜歯によってできたスペースを利用して、前歯を後方へ移動させる計画を立てました。
アンカースクリューを使って、奥歯もしっかりコントロール

今回の治療でもう一つ重要だったのが、歯科矯正用アンカースクリューです。
アンカースクリューとは、矯正治療で歯を動かす際に使用する小さなネジのような装置です。
矯正治療では、ある歯を後ろに動かそうとすると、その反作用で別の歯まで動いてしまうことがあります。
そこで今回は、上顎の口蓋にアンカースクリューを設置し、歯を動かすための固定源として利用しました。
さらに、リンガルアーチやパラタルレバーという装置も組み合わせて、奥歯の位置をコントロールしました。
治療経過|少しずつ歯を動かしていきます
治療は一度にすべての歯を動かすわけではありません。
歯並びを整えながら、少しずつ目的の位置へ歯を移動させていきます。
簡単な治療の流れを説明したいと思います。
① アンカースクリューを設置
上顎の口蓋にアンカースクリューを設置しました。

② 矯正装置を装着
上下の歯にマルチブラケット装置を装着し、歯並びを整えていきました。

➂ 抜歯したスペースを閉じる
歯並びが整ってきたところで、抜歯によってできたスペースを閉じながら、前歯を後方へ移動させました。

④ 最終的な噛み合わせを調整
最後に細かな歯の位置や噛み合わせを調整します。

⑤ 装置を外して、保定期間に移行します。

治療前と治療後を比較してみましょう
前歯がしっかり咬めるようになり、前歯も後ろに下がりました

治療前は、前歯が噛み合わず、上下の前歯の間に隙間がありました。
治療後は、前歯の位置が整い、上下の前歯がしっかりと噛み合う状態を獲得することができました。
また、左右の噛み合わせも改善し、歯列の正中も整っています。
前歯の突出感も、治療前は上下の前歯が前方に位置していましたが、治療後には前歯の傾きと位置が改善しています。
口元にも大きな変化がありました

治療前は、上下の唇が前に出ている状態でした。
前歯を後方へ移動したことで、治療後には唇の位置も後方へ変化しました。
また、治療前にみられた口を閉じたときの顎の先の緊張も改善しました。
歯並びだけでなく、口元の見た目や口を閉じたときの状態にも変化がみられたことが、今回の治療のポイントです。
今回の症例で改善したこと

「前歯が噛み合わない」と感じている方へ
このようなお悩みがある方は、もしかすると今回の患者さんと同じように、開咬や出っ歯が関係している可能性があります。
ただし、同じように見える「出っ歯」や「開咬」でも、その原因やお口の状態は患者さんによって異なります。
そのため、矯正治療ではまず検査を行い、「なぜ前歯が噛み合わないのか?」、「なぜ前歯が前に出ているのか?」
を確認することが大切です。
さいとう矯正歯科クリニックでは、患者さんのお悩みをしっかりと伺い、お口の状態を詳しく検査したうえで、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。
「自分の歯並びも矯正で治せるのかな?」
と気になっている方は、まずはお気軽にご相談ください。
治療概要
主訴: 前歯が噛み合わない
診断: 開咬を伴うAngleⅡ級1類・high angle症例
治療方法: マルチブラケット装置による矯正治療
抜歯: 上顎第一小臼歯、下顎第二小臼歯
使用した装置: マルチブラケット装置、歯科矯正用アンカースクリュー、リンガルアーチ、パラタルレバー
その他: MFT、Ⅱ級ゴム
動的治療期間: 約3年1か月
保定: ソフトリテーナー、下顎犬歯間固定式リテーナー
経過観察: 治療終了2年後まで確認
※矯正治療には、治療中の痛みや違和感、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯・歯周病、後戻りなどのリスクがあります。また、治療期間や治療結果には個人差があります。治療内容やリスクについては、診察時に詳しくご説明いたします。
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