さいとう矯正歯科クリニックでは、
2013年3月に3次元CTを導入いたしました。
- コンピュータ断層撮影(コンピュータだんそうさつえい、英語Computed Tomography、略称:CT)とは、放射線などを利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理することで、物体の内部画像を構成する技術、あるいはそれを行うための機器。(ウィキペディア参照)
矯正治療を行う際は、歯だけでなく、顔面全体の骨格を調べるために、セファロという顔のレントゲン撮影を必ず行います。
しかし通常のレントゲン写真は平面的に写るために、大雑把な情報しか得られませんでした。 そこで3次元CT撮影することにより、完全な立体の画像として、パソコンの画面で確認することが出来るようになります。
矯正治療では、全ての歯を動かすために、歯の情報だけでなく、顔面骨格の情報が必要となります。
また最近では、矯正歯科治療はワイヤーを付けて単純に歯を動かすだけでなく、顎関節や歯周病など、他分野の専門歯科医師との連携治療が重要となっていますので、他分野のドクターとの情報の伝達手段として、大きな役割を担うようになりました。
それでは実際にCTで撮影した画像を見ていきましょう。
CTの画像は、このように輪切りにした断面画像が、自由な位置で見ることができます。
輪切りにした断面写真だけでなく、CTのDataに画像処理をすることにより、このように立体的な画像を見ることができます。
またこの画像はCGのように自由に画像を動かして、あらゆる角度から見ることが出来ます。
さいとう矯正歯科クリニックでは、
CTを撮影して以下のことに利用しています。
歯と骨の関係を調べます。
歯は骨の中に埋まっています。もし歯の回りに骨が無ければぐらぐらして抜けてしまうでしょう。
つまり歯が重要なのは当たり前ですが、歯を支えている歯槽骨という骨の状態を詳しく見ることも重要となります。
たとえば庭に木を植える時に、土に植えるのと一緒で、歯を並べる場合は歯槽骨の上に並べますので、並べられる歯槽骨の幅や奥行きを調べることが必要なのです。
アンカースクリューを埋入する位置を決めるために、使用する。
アンカースクリューとは、歯を移動するために、引っ張る力をかける固定源として使うチタン製のネジのことです。
このアンカースクリューは、歯の周りにある歯槽骨に植立しますので、歯槽骨を詳しく調べることができるCTで、アンカースクリューを埋入する位置を決めるのに有効です。
埋伏歯の位置を正確に把握できる。
歯が正常に生えてなく、埋まっている状態を埋伏歯といいます。
埋伏歯は抜く必要があるのか、周りの歯に悪影響を与える可能性があるかなど、詳しく場所や状況を把握する必要があります。
通常のレントゲンでは、左上の奥歯付近に、埋伏している犬歯が写っているだけで、奥歯と犬歯の関係がどのようになっているのか分かりませんが、CT画像を見ることにより、奥歯の外側に犬歯があることが分かりました。
上の写真を比較すると、通常のレントゲン写真では、埋伏している親知らずが手前の歯と重なって写っています。
通常のレントゲンでは、重なっているのか、それとも前の歯に食い込んでダメージを与えているか不明ですが、CTを撮影することにより、親知らずが前の歯を吸収していて、ダメージを与えていることが完全に判断することができます。
通常のレントゲンでは、上の前歯中央に雲のようなものが写っています。
最初は現像ムラかと思いましたが、何かがある疑いがありますので、CT撮影したところ、過剰歯(通常ある歯ではない過剰な歯)がはっきりと写りました。
場所も明確に判断できます。
気になる歯科用CTの放射線量について。
我々は通常の生活をしていても、自然に放射線を浴びていますので、1年間に自然に浴びる放射線量は世界平均で2.4mSv(ミリシーベルト)、日本平均で1.4mSvといわれています。
通常の医科で頭部CT撮影をすると、2mSvといわれていますが、歯科用のCT放射線量は 医科のCTと比べて、0.2mSv程度とかなり低い値です。
それは骨や歯などレントゲンに写りやすいものを撮影するためで、低い放射線量でも、十分な画像を得られることができるのです。 ちなみに0.2mSvとは飛行機で成田・ニューヨーク間を往復するときに、飛行機内で浴びる放射線量(高所では宇宙線が増加するため)と同じです。
歯科のCT放射線量が低いからといって、当院では頻繁にCT撮影をすることはありません。 通常のレントゲンで十分に判断可能な場合はCT撮影を行ないません。 またCT撮影する際は、必ず同意を得た上で撮影を行ないます。